つい先日まで、タローは驚くほどの食欲を見せていました。
「もう大丈夫かも」と思えるくらい、毎日回復期ケア用の猫缶を一缶ぺろりと平らげていたのです。
その姿は、生きる力に満ちていて、私たちにも希望を与えてくれました。

突然の異変、そして診断
ところが、ある日を境に――
タローは食べるのをやめました。
ご飯を差し出しても、においを嗅ぐだけでそっぽを向く。
体を起こすのもしんどそうで、呼吸が浅く早くなっているようにも見えました。
急いでいつもの獣医さんのもとへ。
診断は、腎不全の進行でした。
この数年、タローは点滴と注射で何度も危機を乗り越えてきました。
今回も例外ではなく、点滴と注射を3本。
一縷の望みにすがるような思いで、帰宅しました。
食べない3日間、水だけの日々
それからの3日間は、ただただ見守るだけの時間でした。
お水は自分で飲んでくれる。
けれど、一切ごはんを食べない。
「このままもうダメかもしれない」――
そんな不安が頭をよぎりながらも、祈るように、静かに時間が流れていきました。
やっとの食欲、でも慎重に
4日目の朝、ほんのひとかけらだけど、タローが缶詰を口にしました。
涙が出そうなほど、うれしかった瞬間です。
それでも、油断はできません。
獣医さんいわく、回復期ケアのフードは栄養価が高く、腎臓に負担がかかることもあるとのこと。
一度にたくさん食べさせるのではなく、1日数回に分けて、少しずつ与えるのが理想だそうです。
覚悟を胸に、静かな日々を大切に
タローは今も、目を開け、立ち上がり、歩き、そしてときどきごはんを食べてくれます。
でも、この回復がいつまで続くのかはわかりません。
元気そうに見えても、その時が静かに、確実に近づいていることを、私たちは感じています。
だからこそ、今この瞬間を大切に。
今日タローがごはんを食べてくれるだけで、ただそばにいてくれるだけで、それがどれだけ尊いことか。
覚悟はしています。
でも、できることなら少しでも長く、穏やかな時間が続いてほしい――そう願わずにはいられません。